相続にはマイナスの財産はつきもの。隠して困ってしまう前に、家族の為にもできる対策を。

相続にはプラスの財産と、マイナスの財産があります。

家族に心配をかけまいとマイナスの財産、
つまり借金を隠してしまっていると、
もしもの事故や急性疾患で亡くなった場合に、
家族は何も知らないまま、相続時に債務を背負うことになってしまいます。

会社社長ともなると、会社を率いる社長としての
プライドが邪魔をして、妻や従業員に借金があることを
知られたくないと隠してしまう事があります。

家のものに言えない借金の返済の仕方として、
きょうだいに相談し穴埋めを頼み、生命保険で返済する
といった方法もありますが、
きょうだいといえども借用書を作り、
返済方法は決めておきましょう。
借用書がないと「贈与」とみなされ、贈与税が課税されます。

兄弟姉妹、親戚から借りて返済をする。
最も現実的な方法ですが、悩み落ち込んでいると
見落としがち(見えなくなっている)ものだったりします。
冷静になって身近に用立ててくれる親戚はいないかを考えてみましょう。

次に、多額の借金を会社が背負っており、個人の資産はあるが、
事業に使うことで老後の生活が不安に…
妻に心配をかけたくない…
そうしたケースの場合の対策です。
検討したいのが、夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の
「配偶者控除」という特例です。

「配偶者控除」は配偶者の特別控除を利用して、
自宅をあらかじめ妻に贈与しておく形です。
通常は、住まいを家族に譲ることに贈与税がかかります。
地価の高い住まいなら大きな額になるので、
なかなか決断できないものではあります。

しかしこの特例は、2000万円までの範囲なら無税で渡すことができるのです。
そこに年間の贈与税の非課税枠110万円を加算する、
2110万円を一気に贈与することが可能になります。

適用されるには以下の条件が必要であるので、
よく考えて進めていく必要があります。
結婚期間が20年を過ぎている。
贈与されるのは居住用不動産、
または居住用不動産を取得するための資金であること。
贈与された年の翌年3月15日までにその不動産に住んでいて、
その後も住む予定であること。
そして、この特例は、一生に一度しか使えません。

こどもへの「相続時精算課税」を利用し、
妻の老後の生活の安定を測る考えもよいでしょう。
財産を生前贈与する方法として、贈与税の特例措置である
「相続時精算課税」を利用します。
こどもに資産を贈与し、そのこどもの扶養を通じて
妻の老後の生活費をある程度まかなう額の
財産の贈与をしておく形がとれます。

マイナスの財産は、相続にはついてまわるもの。
相続放棄の手続きができるように、
借金のことは遺言書に書いておく事が大事になります。

「死後事務委任契約」を弁護士などと交わしておき、
滞納した税金の処理の委託をすることで対処してもらうことも出来ます。
この制度は亡くなった後の法律的な様々な手続き、
葬儀のことなどを専門家に依頼するものです。
頼める事柄が幅広いため、家族に隠し事のある場合にも役立ちます。