誰も住んでいない実家。売却のタイミングは?前もって話し合うことが大切です。

高齢化社会の到来に伴い、介護をきっかけとした家の売却が増えています。

介護費用や医療費のねん出の為、また老人ホームへの入居で

実家に誰も住まなくなるなどが要因にあげられます。

 

親名義の家を売却する時は、税金に注意が必要です。

売却のタイミングを逃し税金が上がる可能性であったり、

売買契約書を紛失している(どこに仕舞ったか分からない、見つからないなど)

といった事も多く、多くの税金が発生してしまう可能性があります。

 

親の介護が必要な場合、親本人に判断能力があり

こどもが親の代理人として不動産を売却するのが「任意代理」です。

これは手続き的にも簡単で、裁判所の手続き等も不要なのでとても楽な方法になります。

しかし、この「任意代理」は親本人が認知症ではない場合にのみ利用可能なのです。

 

親の認知症に備えて、事前に財産の管理などを

こどもが行うためには「任意後見制度」がよいです。

親の判断能力が健全なうちに、あらかじめ代理人を定めておき、

委託することができる制度です。

こちらの制度は、公正証書によって任意後見契約を締結しておく必要があります。

 

そして、親が認知症になってしまった場合に行えるのは

「法定後見制度」です。

任意代理で売却が出来なかった、

任意後見制度の準備もできなかった、

そして老人ホームに親が入居している間に、認知症になってしまった。

これは、施設へ入居している親が「家へ帰りたい」と願うことや、

こどもとしても親の願いを聞くうちに、

親御さんの健在なうちは家を売却しないことが多いため、そうなりやすいのです。

 

そうした時に「法定後見制度」は、親が認知症になった場合でも

成年後見人等が代理人となり、

親名義の家や土地を売却することが可能になります。

ただし、弁護士等が裁判所から成年後見人等の法定代理人として選任され、

家族が代理人となることは原則できないのです。

 

家を売却した時は、所有期間の長短に関係なく

譲渡所得から最高3000万円まで控除ができる特例があります。

特例を受けるための適用要件は、

自分が住んでいる家屋を売る、

家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

そして以前に住んでいた家屋の場合は、

住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の

12月31日までに売ることが大事です。

 

家の売却はタイミングが重要です。

 

将来に備えて任意後見契約しておくのが良い対策です。

任意代理、または任意後見制度を利用して

早めに家を売却できないか話し合う事は、

認知症となることを前提にした契約であるため、

親もこどもも、言い出しにくいという空気があります。

しかし、いつでも変わらずに寄り添えるのは家族だけなのです。